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■霧島便り80
【森の藻】
道無き場所で滝と出逢った。
崖をおりると
滝ツボのそばに
水しぶきを浴びながら
大きな木が
ひっそりと
たたずんでいる。
何年ものあいだ
岩肌に根をはり
ここに座す。
霧飛沫を毎日あびて
少ない陽の中で
藻が抱きつくように育っていた。
視線のむこうで
鹿の親子連れが
寄り添って歩いていた。
安心できる場所。
木津龍馬
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