■霧島便り66
【五行説】
中医学(東洋医学)の基本的な考え方の中には、「陰陽」の他に「五行説」といわれるものがあります。
自然界に存在するすべてを、木・火・土・金・水の五つに分類します。
木は木々や草のことで、大地に這ってのび広がる特性があります。
火は炎をみればわかるように、熱く上へ上へとあがっていく特性があります。
土は土や大地のことで、命を生み育てる特性があります。
金は鉱物のことで、金属も含まれます。清らかかつ、サラサラしていて、収縮、硬化と、変化する特性があります。
水は液体で、冷たく、上から下へ流れ、潤いを与える特性をもちます。
また、この五つの要素には、「相生・相克」の相互関係があります。
木は燃えて火をおこします。火から灰ができ、土に変わります。そして土からは鉱物ができて、鉱物からは鉱水が生まれ、その水が木の栄養になります。
この関係性を「相生関係」といい、お互いを生み育てることを意味します。
逆に、お互いを抑制する関係性を「相克関係」といいます。
木は土の養分を吸収し、土は水の氾濫を防ぎます。水は火を消し、火は金属を溶かします。そして、金属は木を切り倒すことができます。
このお互いの特性を牽制しあう働きを「相克関係」といいます。
「相生・相克」の関係性があるからこそ、お互いを補いあうことができます。そして、その特性が1つでも勢いが強くなり突出しないように、バランスを保ち、調和がとれるようにしています。
このように、ここでも循環思想が重要視されています。
五行説とは健康に特化したことだけではないのです。
木津龍馬
