■霧島便り59
【ゴミ拾いとラヂオ体操】
朝一ですんごく心洗われる姿を目にした。
霧島溝辺にある有名な企業の営業所。
社員数人でゴミ袋を持って周辺のゴミを拾っていた。
よく見る光景と言えばそれまでだが、目に飛び込んできたのは一人の若者。
どうみても、「会社周辺」から軌道を逸脱、いや、範囲を超えている。
黙々と、道路沿いを、遠~くのほうまで下を向いて歩きながらゴミを拾っていた。
会社からかなり離れてしまっているのだ。
他の社員たちは、「周辺」の領域を出ていない。要領よく、テキパキとゴミを拾っている。
その彼一人だけ
遠~くまでイッちゃってる。
別の社員が大声ではるか向こうにいる彼を呼んだ。
呼ばれて、ハッと我にかえった表情がたまらなくイケていた。
「あれ、いけねェ」みたいな顔をして、小走りに皆の元へ戻って行った。
その若者は、おそらく、夢中になってゴミ拾いをしていたら、どんどん遠くへ離れていってしまったのだろう。
なんか不器用すっとこどっこい極まりない姿に、笑ってしまった。
余計なお世話だが、要領も悪そうで、白い息を吐きながら走る姿もぎこちない。
ただ、一所懸命が伝わってくる。
ただただ、一所懸命さが伝わってきた。
道路沿いにある、別の薬品会社では、ラヂオ体操を終えたばかり。笑い声が聴こえてくる。
一直線上にキレイに並べられた営業車を丁寧に磨いているひともいた。
珍しくもない
この方々の姿は
間違いなく、その会社での今日一日の活力の礎になっていると感じた。
やばい。グッときた。
泣くとこでもないのだが、ジワ~っときた。
いや~まいった。
よい朝だ~。
やられた~。
自分に一所懸命が欠如しているときは、よけいに沁みる。
ありがたやぁ~。ありがたやぁ~。ありがたやぁ~。
木津龍馬
