■霧島便り56
【おせち料理】
本来おせち料理は「年迎え」の膳として、大晦日に食べるものでした。現在ではほとんどの地方で元日以降に食べることが定番となりました。
御神様をお迎えした新年に台所を騒がせないように。女性が正月三が日に休めるように。そのような考えから、保存がきく作り置きの正月の料理となりました。
根本は「火水」に御休いただくためのものです。
おせち料理の元は、ご神事の際に神様へ捧げた供物からきています。
おせちに使われる食材には、『子孫繁栄』『長寿』『出世』『豊作』などの思い、願いが込められています。
蓬莢(ほうらい)という飾りを大元にし、それらの食材などが使われています。
●白米を使用する理由は、1本の稲から沢山の米粒が収穫できるからです。子孫繁栄、多産への願いが込められています。
●野老(ところ)とは「とろろ」のことで、山芋はひげのような長い根が出るので、それを老人のヒゲに見立てることで、長寿への願いが込められています。
●昆布はゴロあわせで、『喜ぶ』に通じています。また、昆布は別名を「ひろめ」とも云われました。そんな理由から、世間に名が広まり、立身出世することへの願いが込められています。
●搗ち栗(かちぐり)は、その言葉から連想されるように、『勝ち』に通づる願いが込められています。
●馬尾藻(ほんだわら)は別名を「穂俵」ともいいます。実が米俵に似ている事から、豊作への願いが込められています。
●橙(だいだい)は、代々その家が栄えるようにとの願いが込められています。
●海老も「とろろ」と同様に、 ヒゲが長く伸びて腰が丸まっている姿を老人に見立て、長寿への願いが込められています。
●豆は「まめまめしく働く」「まめに学ぶ」という勤勉勤労への願いが込められています。
●ごまめ(田作り)は、昔はかたくちいわしの干物を田んぼの肥料に使っていた理由から、豊作の願いが込められます。
●里芋は、1本の苗から沢山の芋が収穫できるという理由から、白米同様、子孫繁栄、多産への願いが込められています。
●数の子も 沢山の卵が詰まっている理由から、白米、里芋同様、子孫繁栄、多産への願いが込められています。
●干し柿は、柿の木が長寿であるという理由から使われます。そして、シワを老人の肌に見立てることで、長寿への願いが込められています。
●梅干しも干し柿同様に、梅干しのシワを老人の肌に見立てることで、長寿への願いが込められています。柿の木と同じく、梅の木も長寿であることが理由の1つです。
柿の木も梅の木も、古くから、御神様へのお供えされるもののひとつです。
●ナマコは形が俵に似ている事から俵子とも呼ばれます。これも、馬尾藻(ほんだわら)と同様に、豊作への願いが込められています。
※口取りとして、紅白かまぼこがあります。御祝儀用としておめでたい彩りから使われますが、元は御神饌の赤米、白米を模した物です。
伊達巻の「伊達」は「華やか」さ「派手さ」を表す言葉で伊達政宗の派手好きに由来すると云われます。その他、諸説ありですが、見た目の豪華さで定番となりました。また、巻物(書物)に似た形から、知識が増える事への願いが込められた縁起物です。
栗金団(くりきんとん)の「金団」とは黄金の団子という意味で、見た目の色合いが豪華で金塊のように見えるところから縁起物として定番になりました。
煮しめには、大きな芽が出ることから「おめでたい」「出世」の願いが「くわい」に込められています。 蓮根には、孔が空いていることから、遠くがよく見えるようにと「先見性があり実りある未来」にたいする願いが込められています。
牛蒡も子宝への願いが、八ツ頭 (やつがしら)も小芋がたくさんつくことから、子宝、子孫繁栄への願いが込められています。また、漢字の八には「末広がり」の意味も込められています。
トコブシも節句の御神饌の一つです。別名を「フクダメ」とも云い、福が溜まる事への願いが込められています。
焼き物には鯛やブリ。最近では登り鰻を縁起物として使われることも増えました。
酢の物はお祝いの水引をかたどったものとして紅白なますを使います。
カブの酢の物、 植物の根をシソ酢で赤く染めたものをちょろぎといい、黒豆と一緒に盛り付けられることが多いようです。
その他、レンコンの酢物を酢蓮(すばす)とよびます。
このように、よくよくみると、おせち料理は陰陽バランスのとれた料理としても、とてもよく考えられています。
とまあ、
つらつらとウンチクをならべましたが、地域によって料理方法も味付けも、使う食材も違います。
大切なことは、家族皆で新しい年を迎えること。家族団らん。たとえはなれていても、気持ちをつないでいただく。おばあちゃんから母へ。母から子へ。
脈々と受け継がれる家庭それぞれのおせち料理は、大切な儀式であり、御神様への感謝の祈りとともに無病息災を願う親心の象徴だと思います。
最近では、おせち料理をつくったことのない女性も多いとききます。
みなさま、これを機に、年末の大掃除のあとにお料理もチャレンジしてみてはいかが?
今年も残すところ、あとわずか。
みなさま、大変大変お世話になりました!
よいお年を!
ありがとうございました!!
ばいちゃ!!
\(^o^)/\(^o^)/
2012年12月
木津龍馬 拝
