■霧島便り33
【菌類のすばらしさ・西洋医学と東洋医学からの観点】
中国では、古くからキノコ類は「不老長寿」の薬とされています。
そして、中医学では、マンネンタケや、ブクリョウ等と同様に、椎茸は医薬品として用いられてきました。
また、椎茸に限らずマイタケやエノキタケなども同様に薬効があり、痴呆症に対して「ヤマブシタケ」というキノコに効果がある、と注目されるなど、菌類(キノコ類)には様々な薬効が期待されています。
椎茸を生産する際には農薬を使っていないことも、素晴らしい機能性食品であるといえます。それだけに、放射性物質の問題は残念でなりません。
キノコ類は料理の主役にはなれませんが、脇役として、毎日椎茸をはじめとするキノコ類を食べることは、体質改善や健康維持にとって、うってつけなのです。
椎茸の持つ薬効の大きなものに「免疫力アップ」があります。
人体は、外から体内に入ってくるウィルスなどの外敵を、インターフェロン、白血球やリンパ球などが攻撃して体を守ります。椎茸をはじめとするキノコ類は、細胞の働きを高めます。
つまり、免疫力を高めることにより、トータル的に病気にかかりにくい体をつくります。
その結果、インフルエンザやエイズなどのウイルスに対する抵抗力、ガンに対する抵抗力、そして予防力、その他、様々な外敵に対して体の防衛力を上げることが可能になります。
椎茸に含まれる、RNAや多糖体レンチナンが、体内で外敵と戦ってくれるインターフェロンの生産を促し、免疫力を高めます。
椎茸に限らずキノコ類はイノシンやシトシンなど、核酸の基になるものがたくさん含まれます。各種核酸の基によって、インターフェロンの生産を促すことが西洋医学でも知られています。
病気になってから食べはじめるよりは、普段から椎茸やキノコ類を日常的に摂ることで、自然と体の免疫力を高めることができます。日頃の積み重ねが、いざという時に効果を発揮します。
また、椎茸は肝臓障害に対しても効果が期待できます。
肝障害は、血清中のALTとASTの量を測定します。この値が大きいと肝臓に障害があるとされます。 キノコ類の中でもマイタケ、エノキタケ、椎茸に肝障害抑制の効果が顕著にみられるとされています。
中医学では、生椎茸を乾燥させることで陽性に傾き、より効能を発揮するとされますが、西洋医学でも同様に、乾燥させた椎茸も効果に影響がないといわれています。
コレステロールには「善玉コレステロール」と呼ばれる「HDLコレステロール」と、「悪玉コレステロール」と呼ばれる「LDLコレステロール」の二種類があります。
動脈硬化などの原因は、「LDLコレステロール」にあるといわれていますが、逆に「HDLコレステロール」は動脈硬化を防ぐ働きを持っていると考えられています。キノコ類が、この悪玉の「LDLコレステロール」を低下させることから、「善玉菌を増やす」といわれるわけです。
椎茸に含まれるエリタデニンという物質が、悪玉コレステロールを下げる働きを持っています。コレステロールが溜まりやすい陽性の肉類等と同時に陰性の椎茸を食べれば、悪玉コレステロールが蓄積するのを防いでくれるのです。
当然、悪玉コレステロールを減らすということは、高血圧を下げることに直結しますし、肌の代謝を促します。
特に、高血圧を下げるには「干し椎茸の戻し汁」がよいでしょう。
これは、コレステロール低下作用と同じように、椎茸に含まれるエリタデニンという成分の働きです。また、エリタデニンは水に溶けやすいため、戻し汁(だし汁)に多く含まれます。
したがって、味噌汁のダシにつかうことは重要です。しかも、「だし汁」をそのまま飲めば「薬」にもなります。万能ダシにもなるし薬にもなる。
今さらながら、先人たちの知恵には頭が下がりますし、自然の恩恵に大感謝です。
※注)エリタデニンは、水よりもお湯の方が多く溶け出しますが、椎茸の旨味は水戻しの方がよく出ることや、戻し汁には酵素など熱で壊れる成分も含まれているので、水で戻す方が良いでしょう。
生椎茸を乾燥させて、干し椎茸にすると、陰性から陽性よりに性質が変容します。西洋医学的にいえば、ビタミンDが特に多く含まれます。
ビタミンDは、不足しがちなカルシウムの吸収を良くする働きがあります。カルシウム不足を気にして、カルシウムの多い食品ばかりを摂るよりも、ビタミンDを同時に摂ればその吸収率は高まります。
※注)市販の干し椎茸のほとんどは、天日干しではなく乾燥機による機械乾燥椎茸です。ところが、椎茸の中にはエリゴステロールというビタミンD前駆物質があり、これは紫外線を当てるとビタミンDに変化します。つまり、買ってきた乾しいたけを紫外線(日光)に当てれば内部のエリゴステロールがビタミンDに変化するということです。
日光に1時間ほど当てることで10倍近くのビタミンD量になることが実証されています。また、日光に当てる場合は、ヒダの方を太陽に向けることが重要です。
キノコ類はダイオキシンをも分解する力があることも証明されてはいます。
特に注目されている環境ホルモン対策において、キノコへの期待は高まっています。
たまには、中医学に携わる者として、真面目に書いてみやした。
おほほほ。
ではまた。
木津龍馬 拝
写真はわが家の裏山にある原木です。
いぃっしょ。