HOME > きりしまだより > 霧島便り136

メールマガジン登録はこちら 講演会の依頼はこちら FMきりしまプラス 木津龍馬
霧島便り

■霧島便り136

【霧島便り番外・温暖化影響予測とは】


「地球温暖化がこのまま進めば、今世紀末には日本の平均気温が最高4度上昇し、河川氾濫の確率が最大4.4倍に増える」との予測結果を、環境省などが4月12日に公表しました。


一方で、3月30日、世界中で購読されるエコノミスト誌が「過去15年で世界のCO2排出量は増加するが気温は予想より上昇せず。」と、地球温暖化問題について驚くべき事実を報告しています。(※記事の原題:A sensitive matter「注意すべき問題」)



同様に英国気象庁も、昨年12月24日に2020年までの温暖化進展に関する見通しを大幅に下方修正する見通しとして発表しました。

だからといって、これらの記事を発表したエコノミスト誌が簡単に地球温暖化に対して懐疑的になったという訳ではないと思うのです。

なぜなら、「CO2の長期蓄積による温室効果」には、関係専門家からの異論が少ないからです。

現在の計算では、「2080年頃までに今より1兆トンのCO2排出増が予測され、それによって約2度~4度の気温上昇効果はあるかもしれない」としています。

そして、「地球規模の気候全体にどういう決定的影響をもたらし、最終的に平均気温が何度まで上昇するか」については『不明』と結論づけています。

つまり、現在の国連気候変動交渉の中で提議されている「2度」の目標も、科学的裏付けには乏しいということです。


地球温暖化に関する最新の研究を評価する機関は「IPCC」です。2009年12月に行われたCOP15コペンハーゲン合意で、IPCC第4次報告書を根拠とし「大気温度上昇を2度以内にすべきという科学的視点を認識する」との表現が盛り込まれましたが、その報告書に「2度」を目標値として推し奨めた文章は記されていません。

政策的に決定されたこの目標設定値に対し、「対策の実現可能性について」という内容で、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の理事長は、『相当の無理が生じる』と「RITE資料:CO2削減長期目標とその実現可能性をめぐって」の中で指摘しています。


これは科学は「万能ではない」という意味としてとらえることができ、それは当然のことでもあると思います。

私たちは、「科学」に正当な判断を求めがちですが、少なくとも地球温暖化という問題について科学者を含む知識人たちが示すことができるのは、「何種類もある中の予測まで」なのだと感じます。

地球上の天才的な頭脳を集めた最新の科学的知見は参考にすることは勿論ですが、現実的に社会が受け入れることのできそうな対策に落とし込んでていく決意と冷静さ、そして柔軟さも同時に必要不可欠だと思います。



さらには、もし、自然への予測を「挑戦」と考えているのならば、それは、私たち人間の傲慢さの現れであり、自然への冒涜であるとも感じます。


『大自然を敬い畏れる』


そんな自らの身の丈を知る「謙虚さ」が、今、私たちには必要なのだと強く思います。


木津龍馬 拝




木津龍馬



木津龍馬



調和力ごはん