■霧島便り129
【農作業と鹿のおっさん】
台風のような春の嵐が過ぎ去った
現場は休み
身体中が筋肉痛で、休みが嬉しい
小松菜を収穫に行くと、鹿のおっさんが畑を荒らしている最中だった
嵐のあと
山奥から家族総出で降りてきたのか
しばらく目と目を見合わせて…ちょい照れた
いきなり頭に痛みが走った
「ひょう」だ
直径5㎜~1㎝ほどの氷の固まり
ビックリ
鹿のおっさん家族もびっくり
おっさんも僕も
慌てて畑から逃げ出した
ものすごい音
氷の集中爆撃
みあげると
遠く高千穂のてっぺんに
雲のすき間から射す陽に照らされて光る
白い雪が見えた
そんな天気をよそに
真っ赤なツツジと
若葉だけになりそうな桜が
ひっそり風にゆれていた
贅沢な空間
気がつけば
吐息は白かった
木津龍馬

